PartIV 陣痛が消えた!?
ちょうどこの頃、義母さんから何度目かの電話があり(気になってるのはわかるけど、手が離せないんだからやめてよ〜)
切った時の操作ミスで、朝からずっと記録していた陣痛時刻のデータをすべて消してしまった・・・
あぁ!お義母さんのバカァ〜 (ToT)
4時を過ぎた頃、先生に「このままだと今日中に生まれません。途中で疲れて陣痛が止まっちゃうことって多いんですよ」と言われる。
(え〜っ!会社休んできてるのに、生まれませんでしたなんて言えないよ〜)
なんて文句を言える筈もなく、先生の説明を聞くと、
「もうしばらく様子を見て、陣痛促進剤を使うかどうか決めましょう」との事。
そして5時。再び先生が見に来る。
「普通ならこのまま翌日持越しです。一晩ゆっくり寝て、体力を回復させてから再チャレンジです。どうします?」
(え〜!またこれを最初からやり直し???) ・・・大ショック!!! (ToT)
「でも、既に破水してますから、陣痛促進剤を使いましょう。このままでは雑菌が入っちゃうから」
(なんだよ!脅かしやがって・・・)
「陣痛促進剤って痛みが激しいんですよね・・・」。不安げに嫁が聞くと
「皆さん、そう勘違いしますが、特に促進剤を打ったからと言って余計に痛むわけではないんです。生むのに必要な陣痛を起こすだけの薬なので、打っても打たなくても生むときの痛みは全く同じなんです」
「ただ、打った後すぐに痛みが激しくなるから薬のせいだと思っちゃうんでしょうね」
「なるほど」
非常にわかり易い説明で安心する。
まず、痛み止めの筋肉注射を打つ。
「これは内蔵の動きを押さえる薬なんですよ〜。子宮に負担をかけないためにね〜」
(うむ!、わかり易い説明ぢゃ)
そして、陣痛促進剤。
ただの注射なのかと思っていたら、点滴だった。
しかも、落ちるスピードを機械で管理するため、チューブの途中に大きな機械をつなげる。
※後ろからですが・・・
初めは1時間に33滴から。
「しばらく様子を見て、効かない様なら66滴→99滴とあげて行きますからね〜」
「人によって違いますが、2時間ほどで効いてきて、4時間くらいで出産になりますよ〜」
「ってことは、夜の12時くらいですか?」
「なんとも言えないけど、ずっと先だと思っていて早く生まれたほうがいいでしょ(笑)」(先生)
「先生、夕べ夜勤だったから、今夜は遅くなると交代になっちゃうんですよね」というと
「いや、今夜もいますよ」
「え〜〜〜〜〜!!!!!いつ寝るんですか??」(私)
「あははは〜」(先生)
後で看護婦さんに聞いたら、全員自分の手で取り上げたいんだそうだ。
生まれそうな患者がいると何日でも家に帰らないらしい。
すごい人である。。。 (ちょっと家族がかわいそうだが)
促進剤の点滴を始めたので再び携帯に陣痛記録を取り始めると、いきなり3分おきの陣痛が復活した。
しかも、絶好調に痛いらしい。
薬効きまくり!(驚!)
あわてて「ひっひっふ〜〜!」を再開する。
ちょっとして様子を見に来た看護婦さんに「いい陣痛ですね〜」と褒められたが、こっちはそれどころじゃなくなって再び大騒ぎになっていた。
ここで、朝からずっと見てくれていた助産士さんが交代となる。
この病院にかかるようになってから、色々教えてくれて世話になっていたらしい。
「Hさん帰っちゃうの〜。寂しいよ〜。帰らないで〜」と嫁が泣きそうな声を出す。
「ごめんね〜。帰る前にもう一回来るし、明日の朝元気な赤ちゃんを見せてね〜」
「本当に色々ありがとうございました〜」
交代した看護婦はこれまた丁寧な人で、相変わらず看護婦さんがいる間は私のやることがない。
陣痛が始まると、トイレの中まで行って背中をさすってくれるんだ。この看護婦さん。
なにからなにまで手伝ってくれる。頭が下がります。
ここの看護婦さんたちって本当にすごいです。感謝!感謝!!
これもやっぱり先生の方針なのか??
この頃にはトイレに行くのも大変で、入ってから出るまでの間に3回は陣痛が来る。
行きと帰りにも陣痛が襲ってくるので、一度のトイレに5〜6回の陣痛がくる訳で、15分〜20分位かかっている計算となる。
※
これがLDR各室内にあるトイレと洗面化粧台。
ベッドの真横にあるので助かります。
また、トイレの中まで助けに行けるのが良い。
共同トイレでは中にはいるわけにいかないもんなぁ。
今まで、ほとんど声をあげなかったうちの嫁さんだが、ついに「う〜・・・、痛い〜〜」と声をあげる様になってきた。
「『ひっひっふ〜〜』では効果がないようなので、普通の深呼吸に戻してみてください」と指示が出る。
そこで、わざと大げさに「ふぃ〜〜〜ぃ。ふよょょょょ〜〜〜」と気の抜けたリードを取ってみた。
と、リードを始めて2〜3回目から後は痛みが和らいでいるような感じだ。
息を吐ききるときに、大げさに体を縮ませ下を向き、がっくりと力を抜いたポーズも追加してみる。
これは効いた!効いてるではないか!!!
それまで70〜90秒間苦しんでいたのに、初めの30秒ほどは苦しむが、
(携帯に入力して、腰のマッサージをしてから呼吸法を思い出すので、ちょっと遅くなる。慌ててるんです、私も)
気付いてリードを始めると数回の深呼吸で体の震えがとまり、一気に落ち着いて来る。
(こんなにひどい陣痛があと6時間も続いて本当に大丈夫かよ?)って思っていたので、この呼吸法が見つかって本当にほっとした。
これならいけそうである!!
>後日、嫁に
>「あのときは、携帯なんかいいから早くリードしてよってずっと思ってたわよ」
>って言われてしまいました (^^ゞ
この頃になると、先生自身が15分に1回位見に来てくれるようになる。
黙って入ってきて、黙って様子を見て、うなずきながら黙って出て行く。
我々も疲れていていちいち先生と会話をする余裕がなく、黙って頭を下げる。
みんな疲れているのだ。。。
たったこれだけのことなのだが、いつも気にかけてくれているんだって、安心感がある。
看護婦さんや助産士さんは当然、もっと頻繁に見に来てくれる。
この追い詰められた状況では、絶対的な信頼感へとつながって行く。
ネットなどでは出産の瞬間しか来てくれない先生がほとんどだって聞いていたので、本当にありがたいことだ。