出産03

 

PartIII ぴこたんの出産予定日(水曜日)翌日。

 

 

翌朝(木曜日)

 

目覚めると、嫁はリビングで一人苦しんでいた・・・

四つんばいになると楽になるそうで、床に毛布を敷いてソファに突っ伏している。

「何でこんなところで?」と聞くと

「起こしちゃ悪いから」って

気を使いすぎだよ!

 

 

一晩中痛くて眠れなかったらしく、もはや声にも元気がない。

(しゃべれなくなるってこのことか!)

 

もう、陣痛も7分間隔まで縮まっている。

(一晩中携帯に記録をとっていたらしい、マメな奴!!)

 

腰のほうもかなり痛いらしい。

「すぐに病院に行こう」

「またフライングだったら恥ずかしいよ〜」

「なに言ってんだ!痛くて眠れないんだろ!フライングでも何でもいいから、とにかく行こう!!

今度はシャワーを浴びる余力も無く、食事もできず、私一人だけ納豆を掻き込んで、直ちに病院に向かう。

 

途中、「おにぎりがないけど、どうしようか?」と聞くと、

「まかせる〜」

返事をするのも辛いらしい。全く余裕がない。

夕べの残りがひとつあるし、また買いこんで行ってフライングってのもちょっとな?と思い、「入院するようなら、後で買いに来るよ」と言って、コンビニに寄らずに病院に直行する。

 

 

 

7時頃病院に到着すると、恥ずかしいのでほとんどの荷物をを車に残し、簡単な装備で出産病棟へ。

今度は直接LDRに通され、嫁だけが隣の診察室へ。

昨夜と違い、診察結果も待たずにLDRの準備がドンドン進んでゆく。

いよいよか〜〜っ!

 

その間に車に戻って隠していた荷物を持ってくると

「破水しちゃった〜」と診察の終わった嫁が言う。

「え〜!ギリギリだったね。コンビニに寄ってたら車の中で破水してたところだ(驚)

と言うと

「違うよ〜、朝の5時から破水してたの」

 

なに〜〜〜〜〜〜〜!!!!!

 

「何で黙ってたんだよ〜。破水してたんなら、フライングもへったくれもないでしょうがっ!」

「ソッコー入院しないと駄目でしょっ!!」

破水かどうか自信がなかったのだそうだ・・・

 

※液晶テレビやCDまで備え付けてある超豪華なLDRでした。

我々が見学に行った頃はスカパーが入ってましたが

陣痛の最中にTVを見る人もいないと言うので

スカパーは解約したそうです(笑)

 

我々も、とってもTVなんて見ている余裕ありませんでした。

 

CDは嫁さんも前もってセレクトして家から持ってきたりして

始めのうちはけっこうお世話になりました

しかし、佳境に入ってからは「うるさい!」だけだったようで、

聞かせてもらえませんでした(泣)

 

 

 

 

この頃には陣痛は既に5分に1回ペースになっていた。

看護婦さんに「陣痛は何分くらい続きますか?」と聞かれたため、この後は陣痛開始時間だけでなく、陣痛持続時間も携帯に記録することにした。

 

ふたたび分監を装着したのだが、ゴムがきつくて非常に痛いと言う。その上、仰向けになるとピコたんの重量がかかってさらに痛いらしい。

横を向くとセンサーの位置がズレてしまい、セットが非常に難しい。

このときはなんとか横向きでセットできたのだが、この後ずっと上手く行かず、分監には泣かされ続けることとなる。

 

「座ってたほうが痛くない」と言うので、陣痛のがしの椅子(?)を出してもらい、早速またがる。

座っていたほうが子供が出てくるのも早くなるらしい。

結局陣痛の大部分の時間をこの椅子の上で過ごした。

 

 

    ここのLDRには冷蔵庫までついてます。上はクローゼット。

しかし、余り冷たい物を飲ませるのもどうかと思い使いませんでした。

 

 

ひとたび陣痛が始まると嫁の顔は苦痛にゆがみ、ふーふー言うのが精一杯となる。

「う〜っ」と声を聞くと、嫁の所にすっ飛んで行き、腰をマッサージしながら携帯に時間を入力。

声を出しながら深呼吸をリードしてあげる。

 

「あまりの痛さに息を吐くことを忘れてしまうので、『吐く方』を中心にリードして下さい。吸うほうは勝手に吸えますから」

と指導され、横で声を出しながらできるだけ長く、私の肺が空っぽになるまで息を吐いてあげる。

これを、陣痛が終わるまで60〜90秒ひたすら続けるのだ。

 

私は花粉症+風邪でマスクをしていたため、非常に息が吸いにくい。

だからと言ってマスクをはずして風邪をうつす訳にもいかない。

一回の陣痛が終わる頃にはすっかり酸欠で頭がクラクラになってしまう。(笑)

しかし、痛いと言って息を止めて我慢してしまうと、赤ちゃんまで酸欠になってしまうらしい。

出産直後の赤ちゃんが紫色をしているのは酸欠のためなんだそうだ。

「だから、お母さんがんばって!」と看護婦さんに言われては二人とも必死である。

念のため、陣痛が収まりはじめると、さらに大きく、ゆっくりと呼吸して、陣痛が終わったら大きく深呼吸を3度。

これを毎回欠かさずやった。

 

このおかげ?で、生まれてきたぴこたんはどこも紫色でなく、血色の良いピンク色であった。

二人でがんばった成果かな?って嬉しかった。

 

もうひとつ、あまり力を入れて痛みに耐えてしまうと、お腹に力が入るため、無理やり生んでしまうことがあるらしい。

子宮口が開かないうちに無理をしてしまうと、子宮口がバリバリに裂けてしまうこともあるらしい(こわ〜!)

なので、深呼吸でいきまないようにしながら子宮口が開くのをひたすら待つのだそうだ。

 

子宮口はこのときまだ1cm。これが10cmまで広がらないと生まれない。

したがって、生まれるのはまだまだ、ず〜っとず〜っと先なのである。

先生に言わせると

「夕方までには・・・」とのことである。

つまりは、12時間以上もこんなことを繰り返さないといけないのだ。

 

 

ここの看護婦さんも助産士さんも非常に丁寧な人たちで、LDRにいるときに陣痛が始まると、私よりもすばやく腰をさすってくれる。

おかげ様で私にはやることがないので、彼女らがいる間にマッサージのやり方を教わったり、ソファで休ませてもらったり、本当に助かった。

その上、本当にちょくちょく見に来てくれる。

30分以上開いたことはなかったんじゃないかな?

ナースコールの必要がないくらい。

やって欲しいことに気付く前に「○○しましょうか?」って聞いてくれるし、質問したいことがあってもわざわざ呼ばなくても待っていればすぐまた来てくれる。

 

結局2回くらいしかナースコールしなかったんじゃないだろうか?

嫁と二人で、「ここの病院にして良かったね〜」と何度もうなずきあった。

 

 

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