契約へ

 

申し込みを終えた我々は、このまま夜行バスのツアーでスキーに向かう予定。

したがって、もう時間がない。

 

「急いで帰ります」

と言うと

「送りましょうか?」

そう、彼の事務所はウチのアパートの隣の市なのだ。

夜行バスの出発は彼の事務所と同じ駅だし。

ちょっと考えたが、甘える事にした。

 

アパートに着くと

「下で待ってますから、送って行きますよ」(笑)

と言ってくれた。

さすがにそこまでは悪いな?と思ったのだが

「時間がとれれば事務所にも来てほしいですし」

と言うので、再び甘えてしまった。

 

何の支度もしていなかったので、あわててしたくに取り掛かったが、結局小一時間も待たせてしまった。

 

更に車の中で色々世間話。

彼の安月給ぶりや、究極の生活ぶりなどで盛り上がる。

彼のお兄さんがリフォーム屋をやっているそうで、K橋氏は大手不動産にいるのだが、自分の担当物件のリフォームをお兄さんに回してお金を稼いでいるようだ。

したがって、今回のように他でリフォームされてしまうとまったく儲からないわけである。

なにしろ、購入金額が1000を切ってしまったため、仲介手数料は約30万ずつ。

それから歩合給をもらっていくらになるというんだ・・・

何度もお客さんを案内してるそうだし、とっくに赤字だよな。かわいそうに。

 

 

事務所に着くと、正式な申込書、その他に記入して、色々話を聞く。

かなり断りずらい雰囲気になってきた・・・

 

別れ際、スキーバスの乗り場を調べてくるのを忘れた事に気づき、事務所で調べてもらったがわからず。

いつもスキーバスが来ているところを教えてもらってそこに行く。

実際にバスが来るまで非常に不安だったが、助かったよK板さん。

 

 

12/22

あろう事か、嫁さんが派遣の仕事をクビになった。

なにもこんなタイミングで!?

と、思ったが、もっと早ければ家を買うのを断念したところだ。

ま、こういう縁なんだろうな、Mさんちとは。

 

 

12/23は祭日

 

午前中の日当たりが見たかったため、午前中からMさんちに行く。

まだ、買うと最終決定したわけではないため「見に行くだけだ」と言っておいたが、念のために印鑑だけは持って行く。

 

Mさんちは、予想通り日当たり良好。これなら何の文句もない。

登記簿や、敷地境界などもチェックしたが、特に問題なし。

隣のAさんにもお会いして正面市道からの距離など、あいまいなところがない事も確認した。

廊下にちょこんと座っていたAさんは非常に印象の良い人で安心する。

 

この日はなぜかK板君の上司が来ていて「変だな?」と思っていたら、

突然

「よろしいですか?じゃ、これから仮契約に入ります」って

「なんだとぉ!!!」

 

(聞いてね〜よ、今日は見るだけじゃなかったんかい?)

 

 

「ちょっと強引じゃないですか〜?」といったら、K板君も

「すみませ〜ん」と素直に謝ってきた。彼、営業臭くないんだよな。。。

上司はイカにも営業って感じの人で気に食わない。

「やっと食いついたんだから速攻契約してしまえ」

って、かなり強引な感じだ。。。

 

私的にはなめられたみたいでちょっとむかついついたのだが、どうせ契約するつもりだし、「ま、いいか」と仮契約に入る。

 

上司の方は愛想がまったくない人で、物件説明なども機械的にテキパキ進む。

間に私や嫁が冗談を挟んでもK橋君は一瞬笑いかけるのだが、上司が仏頂面で無視するため笑えない。

この上司、よくこれで営業をやってるよ、本当。

非常に重い空気のまま契約が終了した。

 

とりあえず、彼らの推薦する銀行にローンの事前審査を出す。これが下りないと購入できないのだ。

普通の中古住宅の場合、購入価格までローンが下りない場合が多いのだ。

しかしK板君曰く

「この物件なら大丈夫だと思いますよ」とのこと。

傾いているため、一般の相場よりはかなり安い価格なのだが、担保価値どしては傾いていることは関係ないのだそうだ。

なので、100%下りる可能性が高いらしい。

 

ってことは、他の適正価格の中古を買う場合、十分な頭金がないと買えないって事なんだ。

逆に、新築ならばそっくりローンが通る。

つまり、

 

頭金の払えない

「貧乏人は新築を買え!」

ってことだ。

 

無理に多額のローンを抱えろってことなのか?

貧乏人なんて自己破産したって関係ないのか?

非常に矛盾を感じる・・・

 

 

何はともあれ、仮契約は無事に終了

引渡しは1月末日。

「そんなに早くて大丈夫ですか?」

と聞くと

「ま、記入しておかないといけないので。とりあえずです(笑)」(K)

との事だった。

これが、後で後悔する事になる。

 

 

 

それにしても愛想のない上司だった。

担当がK板君じゃなく、あの上司だったら「聞いてない」って文句言って仮契約なんぞしていないところだった。

ま、K板君も裏でなんていってるのかはわからないんだけどね。。。

所詮建築の営業だし。

あ〜やだやだ。

 

翌日はクリスマスで嫁と二人で食事に行ったのだが、ローンの話ばっかりでムードのへったくれもなかった(笑)

翌々日から嫁に頑張ってもらって銀行廻り。しばらく買う気がなかったのでローンの情報集めなどをしていなかったため、結構あわてた。

 

希望は新生銀行かスター銀行。しかし、購入価格の80%しかローンが下りない。

色々シミュレーションして、リフォーム代も含めてギリギリ出せそうだと判断。

二人で銀行に行くために、ちょうど12/29は当社は休みだが、銀行は開いているのでそれを利用する。

 

銀行に着いて説明を聞くと、融資決定までになんと二ヶ月かかるそうである。

これでは1月末に間に合わないではないか。

今申し込んでいる銀行が通ってしまえば、もうキャンセルはできないのである。

しかし、引渡し時期は「一応」との事だったので、延期してもらうつもりで申し込みだけして、書類などももらっておいた。

 

翌日から数日間のプチ新婚旅行2&年越し旅行。再び伊豆へ。

帰ってからが忙しい日々の始まりである。

 

 

年が明けて

1/5

仕事初め。のっけからとんでもなく忙しい。

夕方連絡があり、ローンの事前審査が通る。

これで、マイホームが現実のものとなったのだが、

同時にキャンセルも不可となった

 

「スターバンクなどの審査が二ヶ月かかるので、引渡しを伸ばしてくれないか?」

 

と、板ちゃん(既にちゃんづけ)に頼むと

 

「もう契約してしまったので、一方的に引渡しを伸ばすと違約金が発生します」

 

「えっ?一応記入するだけだって言ってたじゃない」

 

「え〜、そ〜なんですけど〜、契約しちゃったし、もうだめなんです」

「なに〜〜〜〜!!」

「聞いてね〜よ〜」

 

 

みごとにやられてしまった。。。

 

なんでこう、建築、不動産の営業って平気で人をだますんだろう?

腹は立ったがここまで来たら仕方がない。

ゴタゴタしたって契約するしかないのだから、仲良くやるしかない。

どうせ8割しか借りられないから後がきついし、借りる額もそんなでもないから良しとしよう。

 

「わかりました。一般の銀行で調べます」

ってことで、ターゲットを変更。

しかし、なかなか良いところが見つからない。

 

板ちゃんの事務所に行って今後の打合せをした後、あれこれローンの資料を出してもらう。

大手不動産チェーンだけあって色々と特別割引ローンがあるのだ。

彼オススメの銀行はイマイチ利息が高い。

便利だからというのだが

きっと手続きが簡単か、向こうの担当と仲が良いだけなのだ。

どうせ裏の事情なんて、どこの会社も同じだ。

わかってるんだよ、ふふふ・・・

 

「!?、これは!??」

一番下にあった小さなコピーを見ると、他の都市銀行よりも1%くらい安いではないか・・・

TM信託銀行と書いてある。

板ちゃんもまともに取引したことがなさそうで、良くわかっていない。

 

変な銀行で大丈夫かな?とも思ったのだが、借入額が小さいし、

万が一つぶれでもしたら、どさくさにまぎれて借金が消えちゃうかも(笑)

なんて期待もあったり。。。(冗談)

 

今のペースで貯金して入れば、がんばれば3年ちょっとで返せる金額である。

他の借金を優先したり、リフォームや家具を買ったりすることを考えても、順調に行けば5年で返し終えるつもり。

最後の2年分なんて残金が少ないから、金利が上がっても大して影響がない上に、数年後にいきなり金利が大上昇するとも思えない。

 

なので、危険を承知で3年固定金利で決定!

1%台前半の超低金利である。

そして、3年後の変動金利切り替え時に一気に繰上げすれば手数料がかからない。

その時に子供がいたりして返済が厳しいようならそこから5年固定にでも組み直せば良い。

いずれにしても、3年後にはまだたいした金利になっていないことが前提ではあるが。。。

 

さらに、リフォーム資金として購入価格の一割まで「一般ローン」から貸してもらえると言うので、そちらも借りることにする。

今の時点で、リフォーム資金として150万考えているが、実際に工事をやってみないと最終的にいくらかかるかわからない。

また、引っ越してから家具を買ったり、色々出費もするだろうから、余りに予算ギリギリでも危険である。

というわけで、こちらは予備費に回す。年利4%を越えるのでちょっと痛いが、額も小さいし、不要とあらば即返済できる。

手数料や保証料などは損しちゃうが、安全料だと思えば良い。

 

ローンを確定させると、後は物件の契約書や、ローンの契約書(金銭貸借契約書)の作成準備である。

まず、実印がない!

プラスチックの三文判を実印登録してあるのだが、「これだけの契約をするのにプラスチックじゃぁねぇ・・・」

って事で、大至急ちゃんとした実印を作ることにした。

結婚したので、いずれちゃんとしたのを作ろうと思っていたし。

 

嫁の実家の近くに安い印鑑屋があるというので、翌日すぐに行ってもらう。

果たして3〜4日で彫れるものなのか?

 

嫁に行ってもらったら、印鑑は3日もあれば彫れるそうだが、色々種類があるので見ないと選べず、残業を切り上げて私も印鑑屋へ。

白い象牙が非常に欲しかったのだが、高かったのと、象の密漁には反対なので、黒い水牛に決定。字体は、運勢などを見て印鑑屋が決定してくれるらしい。

ついでに、嫁と二人で綺麗なプラスチック印を銀行用に購入した。

これで何とか契約には間に合うはずだ。

 

 

 

 

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