見えない鉛粉を追え!!
MP-14のバランス調整とインチアップ
および、TN-87のインチダウン



MP-14とTN-87という違うシリーズのアイアンを使うので、色々時間をかけてカタログスペックを捜してみた

IRON    TN-87         MP-14
番手    3    4   5     5    6  7    8   9   PW   SW
Loft    21   24   27    29   32  36   40  45   50   56
Lie     57   58   59    59   60  60.5  61  61.5  62   63
Length  38.5  38   37.5   37.75 37.25 36.75 36.25 36  35.75 35.5


さらに、実測データ

IRON    TN-87+不明シャフト(R)   MP-14+NS950GH (R)
番手    3    4   5      5    6   7    8    9   PW
Loft    21   24   27     28   31  35   39   44   49
差       3    3          3   4    4    5    5
Lie     59   59   59     61   62  62.5  63   64    64
Length  39   38.5  38     37.25 36.75 36.25 35.75 35.25  35.5
Weight(g) 397  405  413    409  421  426  433   440   446
差       8    8          12   5    7    7    6
barance  D1   D3  D2     C7  D1  D0   D0    D0    D0


MP-14は、ロフト、ライ角共に調整してあるようである。
TN-87のライ角が3本とも同じなのが不思議。
また、明らかにMP-14の5Iが軽すぎるのと6Iが少し重いので、調整してみると

番手    3    4   5      5    6   7    8    9   PW
Weight(g) 397  405  413    (412) (419) 426  433   440   446
差       8    8   ≒     7    7   7    7    6
barance  D1   D3  D2    C8.5  D0  D0   D0    D0    D0

ピッタリの重量バランスとなる
どうやら、MP-14の5番は後から買って追加したのではないだろうか?
また、TN-87も軽量シャフトに差し替えているようである(トゥルーテンパーなのは確かだが、型番は不明)


更に疑問が浮かび上がる

TN-87はMP-14より0.75インチ長いのだから、1インチ=6.5ポイント→4.875≒5ポイント重くなるはずである
しかし、1〜2ポイントしか違っていない。ということは???

MP-14は軽量シャフトに差し替えたときにシャフトの中に鉛を入れてスイングウェイトを調整しているということになる!!!
確かに元々打ち出し角が左だった(ライ角が立っているせいだと思っていた)上、ちょっと力むとショートアイアンで5〜10Yくらい左に引掛けるので、薄々疑ってはいたのである。

計算すれば、TN-87をD2とすればMP-14は5ポイント減でC7になるはずである。
これは、調整前の5Iのバランスそのものではないか!
となると、他のアイアンには3ポイント分の鉛粉が入っていると思われる。

ここで、バランス調整の変化の仕方は
アイアンは1インチのシャフトカットで6.5ポイント軽くなる(ウッドは6ポイント)
グリップに4gで1ポイント軽くなる
ヘッドに2gで1ポイント重くなる
シャフト5〜10gで1ポイント軽くなる

なので
シャフト内に6gもの鉛粉が入っていることになる。(TN-87も軽量シャフトが入っていればの話だが)
そりゃあ、引掛ける訳さ〜〜〜
なるほど納得

てな訳にはいかない
5番も同じく引掛けちゃうんだよ〜(泣)
絶対に5番にも鉛が入っているはずだ〜〜〜

てな事で、更に情報集めをしていると・・・
ミズノのゴルファーズランドというサイトを発見!
お蔭様で、時間はかかったが、かなり詳細なデータをそろえることができた

まず、TN-87(5I)のヘッド重量が256gであること。また、他のフラットバックアイアンもほぼ同じ。
番手ごとには7gづつ重くなっている。

とすれば、MP-14(5I)では、409g(全体)-256(ヘッド)-95(シャフト)-52(グリップ)-2(ソケット)=4g←接着剤と両面テープの分か? 結構いい数字となるが・・・

決定!6番のシャフトを抜いてチェックだっ!!


早速ソケットをずらして・・・
かっ固い! 動かん!!

あきらめてそのままコンロで加熱すると
ボゥっ!
案の定ソケットが発火した。相変わらずボーボー良く燃えること(笑)・・・

今度は大事なクラブなので加熱しすぎないように途中何度も火から降ろしながらの作業となる。
何度もグリグリねじるので、手の皮がはがれそうになった頃、無事にヌポっとはずれた。


これが抜いたシャフトの先端である。
キリでグリグリ穴を開けると・・・


案の定サラサラと大量の鉛粉が出てきた。
 


その上、先端内側に鉛テープも貼ってあった。
その重量、なんと9g・・・


あきれて声も出なかった
これじゃ引掛けて当たり前だよぉ!!!(怒)

各部重量を測ってみると
421g(全体)=266(ヘッド)+144(シャフト+グリップ)+2(ソケット)+9(鉛+接着剤)
となると、他のアイアンにも同じ程度の鉛が入っていると思われる

また、5Iはヘッド重量266-7=259gと予想されるので
409g(全体)=259(ヘッド)+144(シャフト+グリップ)+2(ソケット)+4(鉛+接着剤)
と予想されるので、やはりいくらかの鉛が入っているようだ。

次に7番を抜いてみたがこちらも8gの鉛粉が出てきた。

ヘッドは+7gの426gで、シャフトは-1gの143gだった。

手が痛いので、後はあした

翌日、5番を抜いてみる

なんと、6gの鉛粉が出てきた。

410g(全体)=259(ヘッド)+143(シャフト+グリップ)+2(ソケット)+6(鉛+接着剤)
↑測りなおしたら1g増えた

どうやら、シャフトは短くなってもほとんど重さは変わらない様だ。
そのまま、二本ずつ、二日に分けて抜いてみた

その結果
番手       5    6   7    8    9   PW
全体重量(g)  410  421  426  433   440   446
ヘッド重量    259  266  273  281   287   294
差           7    7   8    6    7
シャフト重量   143  144  143  143   143   143
ソケット      2    2   2    2    2   2
鉛+接着剤   6    9   8    7    8   7
重心距離   33.5  31.5  31.5  31.5  31.5  31.5

鉛抜重量(g)  404  412  418  426   432   439
差           8    6   8    6    7
となるので
調整重量    +1   0   +1    0   +1   +1

完成重量(g)  405  412  419  426   433   440
差           7    7   7    7    7
と、重量バランスピッタリとなる。

しかし、これではスィングウェートが軽くなりすぎるのであるが、もう少しシャフトを伸ばしたいので、そっちでバランスをとるようにセッティングしてみる。

まずは0.5インチアップで、5番のシャフトを6番に挿して試打。
ウェート的にはD2になるが、全体重量が軽いのでちょうど良いかも???

と、思ったが、やっぱりD2はD2である。重い!
計算って正しいものだ・・・(笑)

その上、ちゃんと接着していなかったので、10球も打ったら「ピ〜ン」というきれいな響きを残してヘッドがすっ飛んでいった。
こりゃ〜あかん

0.5インチアップでは重すぎたので、0.25インチアップでそろえると、計算上はTN-87までちょうど良いバランスとなるので決定して計算してみる。

番手     3    4   5      5    6   7    8    9   PW
元Length  39   38.5  38     37.25 36.75 36.25 35.75 35.25  35.5
新Length  38.5  38   37.5    37.5  37   36.5  36  35.5  35.25
増減    -0.5  -0.5  -0.5    +0.25 +0.25  +0.25 +0.25 +0.25 +0.25
元barance D1   D3   D2     C7  D1   D0   D0   D0    D0
重量減                   -5   -9   -7   -4   -7   -6
新barance C8   D0   C9     C6  C8   C8   C9   C8    C8

となるのでほぼOKである。
なにしろ、スイングウェートは馬鹿にできないのだ

念のためソケット抜きで仮組みしてスィングウェートを計測する。

結局、細かいウエートの調整は重量でなくシャフト長さでやってみる。
1〜2mm程度の調整で間に合うはずだ

新barance  C7.5  C9.5  C8.5     C7.80  C7.21  C7.48  C8.58  C8.40  C8.47
計算上はこうなるはずであるが、実際はどうなるか?
ちなみに、TN-87の方はグリップをはずして確認すると、シャフト先端にコルクらしきものは入っていなかったので、重量調整はしていないものと思われる。
恐らく、はじめから10g重いシャフトが入っているのだろう。
ステップの位置から推測すると、ダイナライトゴールドあたりだろう。


<TN-87 シャフトカット後>
 重心距離 重量 差    スイングウェート計算                    ならすと
5I       417    716  360.4  15028.68  C7+ 32.81 =C7.26  -0.74  C7.5

<MP-14完成後>
5I  33.5  405     729  373.4  15122.70  C8+ 0.81 =C8.00        C8.0
6I  31.5  412  7  724.5 368.9  15198.68  C8+ 76.79 =C8.60  +0.60  C8.5
7I  31.5  419  7  720.5 364.9  15289.31  C8+167.42 =C9.32  +0.72  C9.0
8I  31.5  427  8  714  358.4  15303.68  C8+181.79 =C9.44  +0.12  C9.5
9I  31.5  433  6  710  354.4  15345.52  C8+223.63 =C9.77  +0.33  D0.0
PW 31.5  440  7  707  351.4  15461.60  C8+339.71 =D0.69  +0.92  D0.5

ものの見事にスイングウェートフローになってしまった(笑)

試打してみると、確かに左への引掛けはほぼ無くなり、見事にクセの無いアイアンとなっていた
しかも、普通のカーボンアイアンよりもずっと軽くて振りやすいアイアンとなった。
しかし、TN-87とのバランスが悪く、TNの方がウェートが軽いのに、振って見ると重く感じる。
これは、シャフト重量が10gほど重いので、全体重量の影響ではないだろうか?

スイングウエートだけでなく、全体重量との相関関係も表せる様な計算式が欲しいものである。
おそらく、全体重量の差に応じて1〜2ポイント増減させれば良いと思うのだが・・・


とりあえず、MP-14に合わせてTN-87にバランスダウンのウエートを貼ってみることにする。


ダメならTN-87もNS950にリシャフトだぁ!




ばらばらになったMP-14。いつ見ても美しいラインである



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